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COFFEE COLORS ロースター&バリスタ

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2013年 02月 27日

第8話 ミッキーがついに来た!

震災から後5日で1年目を迎えようとしていた

その年の冬は12月から豪雪が続き大変な思いをしたが
雪解けは思ったより早く春の訪れを感じていた

朝一番のメールチェックに見慣れない名前、美貴「ヨシタカ」さん?
ニュージーランドに住むミッキーからの初メールだった

「お世話になります」の書き出しからK社長との話や私からの
メールの転送を受けて動かずにはいられない様子が伺える

彼が何故、日本のコーヒー業界を離れて遠いニュージーランドに渡ることになったのか
はそれだけで物語になってしまうほどの信じられないストーリーなのだが・・・

影響力が大きすぎることから今現在、進行中の我々の取組みが日の目を見るまでは
しばらく封印しておきたい



バリスタとしてのキャリアを活かしニュージーランドのフラットホワイトを
日本に伝えたいとのことでスタートしたカフェ事業だが

コーヒーカラーズのコンセプトであるロースター&バリスタ

つまり焙煎というモノ作りから抽出提供のサービスまで一貫して行う
アメリカから派生したサードウエーブスタイルに興味があるらしい

彼のメールはとても熱くピュアーで誠実さを感じるものだった

それからは、何十年も一緒に取組んだパートナーのように焙煎や生豆の選定
買付け、新たな香味創りへの挑戦が福島、青森、ニュージーランドの間で始まった

彼らが取り扱うニュージーランドのMAX COFFEEの焙煎士BENN
から届いた焙煎豆をベースに私なりのベストローストでテイスティングを重ねた

ニュージーランドは10年前程から自家焙煎ブームがあり
100件以上のインディーズロースターが生まれ淘汰されて来たらしいが

そんな中でMAX COFFEEは焙煎豆コンテストで最優秀賞を取ったほどの
素晴らしい感性と技術があった

確かに直火式の焙煎機の割には優しく繊細に仕上げられており技術の高さが伺えた
ミッキーの細かな要請を受けて日本向けのテイストを作って来たらしいが

ベストローストした豆は日本につき店に届く頃にはギトギトのオイルが浮きだす
やや控えめのベターローストでは最高の持ち味を引き出すやや手前なので
どうしても物足りなさを感じてしまう

何よりも問題は1回の発送ロットが少ないと㎏あたりの運賃が嵩み過ぎ
逆に多いと、使い切るまでの時間がかかり過ぎ鮮度に問題が生じる

真剣に取組む程に日本までの距離の問題が明確化するのであった



そして5月 ついにミッキーが来日

「フラットホワイトの伝道師がニュージーランドからついに青森に来る!」

私はコーヒーカラーズを支援応援してくれている5名のパートナーにメールを送った
ベイブリッジ店で、うちのスタッフと総勢10名位のウエルカムパーティーを企画した

それがあれよあれよと言う間に広がり30名以上のカラーズファミリーが
その夜、ベイブリッジ店に集結した

食事や飲み物は私のポケットマネーで揃え会費は1,000円だけのつもりが
これだけの人数では大変な出費になってしまう

そこで皆さんにお願いした、元々シェフやパティシエ、パン職人等のプロ軍団
中にはウエーブデザイナーや食器厨房器具会社の担当者まで揃っているから

ご自分をアピール出来る食事でもお酒でもお菓子でもいいので何か一品持ってきて!
出来ればK社長とミッキーへのプレゼントもお願いします

それが功を奏し超豪華な飲み放題、食べ放題の大宴会となってしまったのだ

来日のご挨拶のつもりで来られた2人はいったい何が始まるのか
少し驚いている様子だったが、乗りの良い2人はすぐに皆に解け込んでいた

お陰で、せっかくの初来店なのにろくに話も聞けたいまま大盛り上がりの
大宴会は夜中まで続いた

せっかく遠くから仕事の話で来たのに失礼かな? とも思ったが・・・

私はただのビジネスとしてではなく共にコーヒーの新たな新時代を開拓する
パートナーとして先ずは人としてのつながり、絆を確かなものにしたかった

翌朝一番からディードリッヒでの焙煎体験、定番品のテイスティングそして
新規事業計画について時間の許す限り話し合った

急遽、午後から弘前に向かうことになったのは昨日の夜、あの大宴会で
知り合ったパティシエSシェフの店を見たいとの申し出からだった

ミッキーとSシェフは共に私より2つ年下、同じ年ということで妙にウマが合ったらしい
「彼の作るスイーツを実際に見てみたい」S社長も自店のスイーツ開発に興味深深だった

弘前の洋菓子店で何品か頂いてSシェフが経営するスイーツカフェに移動した

彼が作るタルトは絶品だ、コーヒーカラーズでも人気のスイーツで
コーヒーにとても良く合う

私は将来的に生地とクリームのベースを供給してもらい自店での焼き立てで提供したいと
考えていたがS社長からも同じ要請があり心よく了承して頂いた

プロ同士のつながりが広がって行くことは招待した私にとってとても嬉しいことだ
本物を作り届けるという同じコンセプトは利害関係を超えた同志のような感覚だった

その夜は青森に帰り昨日とは打って変わって静かで落ち着いた夜を過ごした

津軽割烹 未来

旬の青森県産品食材を使いシンプルだが素材の味を活かした真面目な料理店だ

特に海外帰りのミッキーには喜んでもらえた
青森の四季は日本でも稀なほどにハッキリと変化する

豊かな山の幸、山菜や農産物 そして太平洋、日本海、津軽海峡と
3つの海から取れる豊かな海の幸

静かに優しい味わいの中でこれからの具体的なスケジュールについて
話しながら青森の夜を楽しんだ


「一度ニュージーランドに帰り家や家具を処分して家族を連れて来ます」
12年ぶりの本格的な帰国、人生を 生活をかけた大きなチェンジになるが

絶対に成功させましょう! と誓い合い2人を見送った


次は 第9話  新町八甲通り店がベイカリーカフェに  に続く



追伸、この物語はあくまでもフィクションとしてお読みください

あくまでも私のいい加減な記憶だけを書き綴ったものです


by coffeecolors | 2013-02-27 11:22 | コーヒーカラーズ物語


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