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COFFEE COLORS ロースター&バリスタ

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2017年 09月 04日

浅野さんのモカ その7 METADからのミッションとは

最高品質の生豆を日本市場に売り込む、エチオピアの農業開発企業としては当然の仕事ですが

浅野さんが我々の焙煎豆やオリジナルドリップパックコーヒー、リキッドアイスコーヒーの開発品を見ながら

エチオピアで焙煎したコーヒーを日本で売ることは可能でしょうか? と切り出した

つまりエチオピアの生産者が焙煎加工した焙煎豆や加工品を、エチオピアブランドとして日本で販売出来ないか?

一次産業の2次化、3次化による川上川下の付加価値の確保である

その時点で私は、ある体験を思い出した

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それは前職のバイヤー時代に訪れたスリランカの紅茶メーカーディルマ社フェルナンド会長の取組み

紅茶輸出量世界第一位のスリランカはセイロンティーとして、高品質紅茶の世界有数の産地としても有名ですが

収穫、加工精製された荒茶のほとんどは原料茶葉としてフランスやイギリスなどに渡り、海外で2次加工されブランドとして消費地に渡ります
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皆様ご存知の何百年も続く超有名ブランドの紅茶ですが、多くの利益がブランドを持つヨーロッパの国々へ

当時、海外でブレンダーとして仕事をしていたフェルナンド会長は、このままではいつまでたってもスリランカの生産者は豊かになれないとの危機感から故郷スリランカで紅茶メーカーを設立しました

栽培地で収穫された茶葉は数日で紅茶にされますが、原料茶葉とし輸出され製品となって消費者に届くまでに通常で2年もかかるそうです
世界的な大手ブランドは世界中の紅茶を大量に集めブレンドや2次加工をすることで安定供給の責任を果たしています

しかし、その産業構造が出来たのは植民地時代、つまり大きな格差が当たり前の時代に作られ続く搾取的なモノであることは否めません

そこでフェルナンド会長が取組んだことがマーケティングの川上から川下の出来るだけ多くの領域を自国で行うことによる利益配分の確保です
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生産国から消費国へ「作り手の顔の見える」トレーサビリティー、生産者の生活、自然環境を守り持続継続を目指すサスティナビリティー
なによりも収穫から製品化、出荷までが数ヶ月で実現したことによる圧倒的な品質と鮮度の向上

そのブランド化は大成功し、世界初の産直紅茶として急速にシェアと伸ばしディルマ社の急成長を実現しました
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私は、きっとAman氏もエチオピアの農業のために同じようなことを考えてるんだろうと直感した

しかし日本、いや世界のコーヒー産業はここ20年ほどでスペシャルティーコーヒーの普及によるサードウエーブという大きな変化が起きている
紅茶とコーヒーの決定的な違いは最終加工からの鮮度維持、つまり経時変化の違いにあると思う

ここから先は紅茶や中国茶の専門家のご意見も聞かなければならないと思うが、敢えて私の持論で進めさせて頂きたい

お茶の最終加工は既に栽培地で行わるのに対し、コーヒーの生豆は農産物の素材まだ穀物の状態
解りやすく言えばお米で言うと生豆は脱殻精製した精米の状態、焙煎豆は炊きあがったご飯と言えるでしょう

高品質のコーヒーを求めるユーザーにとって、その素材が誰がいつ、どのような状態で焙煎したものか?
つまり焙煎加工技術と鮮度について敏感になるのは当然の事だと思う

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特に日本は戦後から2度、3度と自家焙煎ブームが起こり、既に焙煎したての鮮度が良いコーヒーの一番の条件として浸透しています
それを追うように高品質コーヒーのブームが到来してので、いくら素晴らしい生豆でも現地で焙煎されたモノは全く評価されないと考えます

私は少し厳しい意見だとは思ったが、敢えてエチオピアでの焙煎加工品の輸出入事業には可能性が無いとの結論を浅野さんに伝えた上で、浅野さんを通してMETAD社のAman氏に向けてある提案をしました

それはエチオピアのアグリカルチャーを正しく伝え、尚且つ川上から川下の最大限の付加価値をMETAD社がコントロールできる

そして浅野さんのキャリアと立場でなければ実現出来ない「最善の策」だと考えました

その「最善の策」エチオピアのコーヒーの将来、2次化、3次化、そして6次化と続く我々の夢のプランについては後ほど













by coffeecolors | 2017-09-04 18:38 | 浅野さんのモカ


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